院長です。小さいお子さんの指しゃぶりは歯並びに悪影響を与えると言われています。正しい知識で対処すれば、心配はいりません。
指しゃぶりは乳児にはみられるもので、すぐに歯列不正になるわけでないので、長い目で見守ってあげるような気持ちが必要です。なぜなら、もし乳歯列で上顎の前歯が唇側へ傾斜している等の歯列不正があったとしても、その癖がなくなると元に戻る確率が高いからです。では、どのような時に問題になるのでしょうか。具体的には、この指しゃぶりの癖が小学校に入っても続いている場合に、歯科矯正治療を必要とする歯列不正になる確率が高くなります。その歯列不正の特徴は、上顎の歯列を咬む面から見て前歯を頂点とした三角形をしているいわゆる狭窄歯列、口蓋が深い、そして正面から見て前歯部の唇側傾斜、歯間空隙、前歯部開咬です。
なぜこのような特徴的な形態になるのかと言いますと、指を上下の歯の間に置いてその指を吸うと、舌は低位をとり、それによって上顎の奥歯の舌測に加わる舌圧が減少します。また、奥歯に加わる頬圧は指しゃぶり最中の頬筋の収縮のため増加します。頬圧は口角部で最も強い力となるので、前歯部で強く狭窄することになるのです。
歯科矯正治療としては、上顎歯列の側方拡大と前歯の後方移動を行うのです。その結果、正常な歯列になります。